救急車がサイレンを鳴らしてやってきた。
普通の車は左に寄せた。
スポーツカーも左に寄せた。
怖そうなまっ黒いVIPカーも左に寄せた。
人間の善意が集まっていた。
その善意をサイレンが通り過ぎていった…。
ふと、こころが暖かくなった。
いろんな分野でこの「サイレン」のようにお互いに、譲り合ったりできないものか…。
遠くに消えていくサイレンが、けたたましく去りながら静かにそんなことを訴えていた…。
例え、誰も患者が乗っていない救急車だったとしても、皆、先に行かせるだろう。
そして、そっと念じるのか。「無事であるように」と…。
日本もまだまだ捨てたもんじゃない…。