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ロス疑惑を通して報道を考える [人間社会]

 朝から晩までやってますね、ロス疑惑報道。

   事件の真相究明は大切です。三浦容疑者が何か只者ではない雰囲気を持っているのも確かでしょう。ですが、このアメリカでの逮捕劇が始まって以来、マスコミの格好の「飯のタネ」になっていることも事実ですよね。亡くなってしまった奥様のことを軽視するのでもありませんし、三浦容疑者の最高裁無罪に疑問を持った国民がいたことも確かでしょうが、何と言うか国民生活から異様に遊離した報道内容に私は閉口してしまうのです。

 マスコミの誘導により「格別意味のない内容」に踊らされることで、 「自分(受け手である国民)が持っている本来的な人間精神の豊かさ」を圧殺してしまっているように感じます。これは知らずの内に精神を破壊する作用があって、人間に対してとても恐ろしい影響を与えてしまうものだと考えます。ロス疑惑、朝青龍関の暴言云々、誰彼の恋愛スクープ、破局、離婚といったスキャンダラスな報道、わけのわからないタレントが事件に対して知った風なコメントを投げつける番組、成立した法律よりも揉めている案件ばかりに着目した政治報道、いつの昔から同じことを繰り返しているのでしょう。

 これに対して国民が抗する手段を具体的に持ち得るかというと、「そうした報道を見ない」ということになるでしょうか。マスコミ自体の改革には相当の時間と、当事者の精神修練が必要でしょうから、即効性を期待することは到底出来ないでしょう。結局国民が採り得る最善にして即効性のある対策は「見ない」ということになります。あのようなものを見ている暇があるなら、己を磨き、己にしかできないことを追求することに人生を使うことの方が余程価値があるように思います。知人に会うことも、家族と会話することも、働くことも、学ぶことも、考えることも、趣味を楽しむことも、全てが自分にしかできないことであって、そうしたことに費やす自分の時間は人生にとって貴重なものでありましょう。それを愚かな報道に没入し、感情移入を強制され、結果としてどうでもいいことに時間を費やしてしまうのはあまりにもったいないと考えます。仮にマスコミに何十年も踊らされて出来上がった人格というものがあるということを考える時、「その人らしさ」というのは維持されるのだろうかと心配してしまいます。

 人間という存在はそんなに軽くありません。自我を大いに発揮しながら己の人生を創造していけるのです。マスコミの流す情報に人格が揺さぶられ、我々の主体的な判断がマスコミに奪われることがないように生きていきたいものです。


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ななはち

最近はテレビ自体から離れた生活をしているので
会社で「え?そんな事件があったんですか?」となる日が多いです
自分をしっかり持たなくては!と思えば思うほど
「他の人はどうなんだろう?」と情報を求めてしまうのかもしれないですよね
このままマイペースに生きていこう(笑)
by ななはち (2008-03-03 21:50) 

kyao

うーん…何と言うのか…。
以前、三浦前社長が無罪判決を得るまで(得た後でも)マスコミはこの人に多大な慰謝料やら取材料やらを支払って、十分すぎるほどこの人を潤わせてきたわけです。で、今また同じことをしようとしている。反省とか、そういうことがないのかと、真面目に思いますね。下手をしたら殺人犯かもしれない人にお金をあげて贅沢させて…どうするんだと。

テレビやラジオというメディアに囲まれている私のような人間は「テレビを見ない」「ラジオを聴かない」ということが出来ず、自然とこうした事件も耳に入れてしまうわけです。でも、ワイドショーはもちろん、一般のニュースでさえこの事件を取り上げてあれやこれやと詮索する毎日…「他に報道すべきことはたくさんあるだろうに」と思わざるを得ないですね。
そうでなくとも、マスコミは一時的に大騒ぎしておきながら、後はまったく振り返らないという体質です。「あの事件、今、どうなってるの?」「あの事件の犯人、捕まったの?」ということさえ多すぎます。

視聴者に対して、訴えかける姿勢が間違っているように思えてなりません。
by kyao (2008-03-04 09:19) 

参明学士

★ななはちさん、テレビから離れた生活で問題ないと思いますよ~。世間を知るということと、人生を豊かにすることとは、必ずしも一致しないわけですし、今日的な愚かな情報には接する必要もないと私は考えています。
お互い、豊かで精神的で実りある日々を歩んでいきたいですよね。今日も一日、地に足をつけて生きていきましょうー。

★kyaoさん、マスコミの話によると、三浦容疑者は随分と名誉毀損裁判で勝利したのだそうですね。
賠償金の問題はともかく、三浦容疑者の取った行動を国民がそれほど知らなくてはいけないのかという疑問が頭をよぎります。それが国民の精神を豊かにすることなのかという問題ですね。国民がどう騒ごうが、粛々と捜査は進みますし、裁判も行われるわけで、事件の本質にはあまり関係ないと思うんです。それを1から10まで彼やその周辺を追い掛け回して、挙句の果てには視聴率稼ぎのタネとなっている。そのくせ、kyaoさんがご指摘の通り、「後はまったく振り返らない」という態度。ふざけきってますし、国民を舐めすぎているし、精神的害毒ですらあると私は考えるものです。

そうなると結局、マスコミって何のためにあるの?という根本的疑義を持たざるを得なくなってしまうんですよね。
by 参明学士 (2008-03-04 11:19) 

銀鏡反応

私も皆様と同じく、TVやラヂオ、雑誌、ネットのニュースサイトで報道される情報に耳や眼を曝されざるを得ない状況にあります。

しかし、明士さんが仰っているように、三浦容疑者の件にせよ、イージス艦の漁船衝突の件にせよ、世のマスコミはまさに視聴率(もしくは購買部数)稼ぎの為に、ヒートアップした報道を繰り返し、事件の真実、本質を追及する姿勢を忘れて、ただただ、『儲ける』事ばかりに狂奔する。

また、そういう姿勢でいるマスコミに限って、事実無根のデマや特定個人の悪質なスキャンダルを故意に垂れ流すことがある。これも所詮は『儲ける』ためにやっていることです。


しかし、このマスコミの行為の為に、不幸な状態にあるのは、私達国民なのです。武者小路実篤の遺した格言に「悪書は読むな。頭がくさるから」とありますが、視聴率や購買部数の増加のためなら、仮令国民の頭が、何事に対してもマトモに考えることが出来なくなるほど腐っても構わない、という姿勢のマスコミが送り出す情報には眼や耳をふさがなくてはならなくなるでしょう。

私が好く出入りする掲示板に、そのマスコミの情報を鵜呑みにして、特定事物の悪質な中傷を繰り返す人物がいます。この人物は掲示板を殆ど一人で独占して、それこそ部数の低迷がささやかれ始めて久しい、一部雑誌の中吊り広告にあるような、低劣な内容の話を繰り返し書きこむので、私をはじめ他の利用者が今ではこの掲示板の利用を控えるようになり、非常に迷惑しています。


このような人間まで登場していることを考えると、明士さんが言われたように、本当に(この国の)マスコミの存在意義とはいったいなんなのか、そもそも、マスコミというものの本来の使命は何処へいってしまったのか、と考えざるを得ません。

マスコミは本来「民衆の味方」のはずであります。それを民衆を敵に回すような記事や中吊りを出して恥じないというのは、実に許し難く、それこそ人々の心の内面まで浸食する行為としか言いようがないと思われます。

本当に私達は、政治家と同じようにマスコミにも、監視の目を光らせるべきなのかもしれません。
by 銀鏡反応 (2008-03-04 20:08) 

サァファイヤ

やってるんですかぁ・・・。
この手のテレビ番組は見ないんですよ。
だって、全然面白くないんですもの。
by サァファイヤ (2008-03-04 23:44) 

参明学士

★銀鏡反応さん、多くの部分での同意を頂きありがとうございます。

>悪書は読むな。頭がくさるから

これは確かにそうなんですよね。知らず知らずのうちに感覚が毒されていくのがわかります。情報の中身を鵜呑みにしてしまうこともそうですが、そもそもそうした情報の品格のなさに人間精神が毒されてしまうのですよね。悪書を悪書と認定できるような確かな基準が国民に示されるのが一番であるとは思っているところです。

>特定事物の悪質な中傷を繰り返す人物がいます。

どの世界にもいる…というだけでは簡単な話ですが、ともかく、こうした人を制度的にも科学的にも完全に排除していくということはできないことでありましょう。そうなれば、そのような人物が出ないような教育なり文化なりを作っていくという作業がどうしても必要であるように感じます。息の長い闘争と言えるでしょうね。
マスコミに対して怒るのは、こういった愚かな思考をする人物を養成し、感覚をミスリードし続けることなんですよね。どうにかならんのかと心底思うのです。

★サァファイアさん、仰るとおりです。本当にこんなものは面白いものではありません。そのスタンスが一番だと思います。
by 参明学士 (2008-03-05 03:19) 

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