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難しいことは簡単に言え [人間社会]

難しい言葉を使えば「賢さ」をアピールできると思っている人がいる。

こういう人はバカなのではなくて、頭が悪いのではないか。空気が読めない。聴き手の反応に配慮が及んでいない。頭のいい人というのは、決してテストの点数が良い人を指すのではないということは我々が色んな人と接していれば自然と気付くことだろう。

バカは自分の分野では力を発揮するかもしれないが、頭の悪い人は根性の悪さが伴う。「自分の見栄のために」しゃべっていることが多い。偉く見せよう、他人から尊敬されようとする卑しい性根がある。難しい本を読むのも、「そういうキャリア」を積みたいからであって、事の本質を知ろうとする知識欲ではないこともままあるようだ。こういうタイプの人間は人格も言動も行動も中身が薄くスカスカで、とてつもなく空虚な椅子に座っている。自分を偉く見せたいために自分にしか分からぬ言葉をダラダラ解説されること以上に腹立たしいことはなかなかこの世には見つからないものだ。そしてそういう人が書いている本などは悲惨なほど他人に伝えられるものがない。自分に酔っているだけであって、そこらにいるコート一枚だけ羽織って、いきなりスッポンポンを見せる変態と大して変わらない。自己満足に過ぎないと言われても仕方がない。

世が病んでいるのは高学歴な人間にそういうタイプが確実に存在しているということにも遠因がある。肩書きを見せ、能書きをたれる。うざいのだ。それに気付きもしていないからもうどうにもならないとしか言いようのないケースもあろう。報道でも評論家などと紹介されれば、自分が本当はわからぬことまで評論して、推測に予想を重ねて愚かな論評をしている人間の多いこと。テレビのコメンテーターのコメントに感心することがほとんどないのは私だけか。だが、コメンテーターの肩書き(大学名、所属名、企業名etc)で、ある程度の信用度を確保させてしまう視聴者は容易に騙されてしまう。専門家などと言われれば、その言葉を無条件に受け入れさせて、その見解をもとにして番組内でコメントを繋ぎ合わせ、事件評価が行われる。我々のような受け手にとってはこれは注意しなくてはいけない。学者・専門家と呼ばれる人間の評価が正当であるなどという担保はこの世に存在していない。学者は学者の世界での利害関係で動いていることも少なくないし、専門家などもそうである。まして難解な用語を駆使して視聴者の無知に付け込んでいることもあるのだ。

正確に事実を認識しようとする努力をやめてはいけない。

自分が持っている認識に偏見の可能性はないか見つめ直してみる。

情報氾濫の中で、情報の正確性を追求する姿勢はあるのか。

偏見は自分を恐ろしい生き物に変えてしまう場合もある。

その偏見はもしかしてマスコミに知らずに刷り込まれたものではないか。

だとしたら、もう一度、自分の目と耳で確かさを取り戻そう。

情報氾濫社会においてはそういう心構えを常に持ち続けていかねばならないのだ。


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sumeru

無理に知ったかぶりの言葉を使って、恥を掻く事も度々、、、。(^^;
反省!します。
by sumeru (2007-01-18 15:21) 

kyao

難しい言葉を使う人って、その実、その言葉の意味を正確に理解していなかったりしますね。で、結局、恥の上塗りをしていることも多いです。
自分でブログを書くようになって、今まで知っているつもりで、実はかなりいい加減だったことや、十分理解できていなかったことの多さに唖然とすることがあります。日々、反省と勉強です。
by kyao (2007-01-19 08:06) 

norinori27

演説や答弁でやたらと英単語を使う国会議員が多い。
その単語の意味本当に知っているの?
議員なら正しい、そして美しい日本語を率先して使うべきだと思う。
by norinori27 (2007-01-19 09:22) 

参明学士/PlaAri

★toさん、言葉そのものの意味って案外違う解釈で覚えていることってありますよね。単語の使用を間違うのはさほど問題ないと思っています。悪意があるわけではないですし、実際私も時折誤って使っていることもあります。そうした間違いは訂正すれば良いですし、対処の仕方ってあると思うんです。問題があるのは「事実認識」への努力を怠ることと、格好良く見せるために使う言葉の品のなさですよね。

★kyaoさん、難解なフレーズを多用する学者とか、したり顔の解説者とか、「お前達、何のために出てきてるんだ」みたいなのが多いような気がしてなりませんよね。

>今まで知っているつもりで、実はかなりいい加減だった

ありますよね。私もたくさんあります。だからこそ、正確な知識と認識への努力は惜しみなく続けていきたいですよね。

★norinori27さん、安倍さんは随分横文字が多いとなじられていますが、確かに英単語の意味と言うか成り立ちと言うか、そういう背景を知らないと後で赤っ恥をかくことも考えられますね。
議員は分かりやすく、そして、国民の最前線へ入ること。まずはそこからですよね。
by 参明学士/PlaAri (2007-01-22 10:12) 

ひろっぴ

「知らない」ことを知られる。多くの人がこれを恐れる。
なので皆が知ったかぶりをし、「お客様は当然ご存知ですよね」などという怪しいセールスマンの言葉にも乗っかってしまう。
例の「あるある納豆事件」で納豆買い占めに走った愚かな人々。TVに騙されたのも確かだが、たかだかTVの一番組の情報にしかすぎないものを盲信するのもどうかと思うなぁ。
by ひろっぴ (2007-01-24 22:19) 

参明学士/PlaAri

★ひろっぴさん、お久しぶりです!

>「知らない」ことを知られる。多くの人がこれを恐れる。

そうなんですよね。仰るとおりだと思います。論語だったと思いますが、「人が自分を知らぬことを憂うな。自分が人を知らぬことを憂いよ(意訳)」という一節があります。現代人の多くはこの逆を行ってますよね。見栄っ張りが多いと言うこともあるでしょうし、なるべく適当に流してその場を済まそうと言うこともあるでしょう。美徳とはまさに正反対に思えますね。

納豆事件。悪いのは納豆じゃないことだけは確かですね。それにしてもマスコミの影響力の大きさに、改めて嘆息する思いが致します。
by 参明学士/PlaAri (2007-01-25 02:33) 

arukakat

私は、TVに出てくる教授だの専門家だのが、書架の前でインタビューを受けるのにバカウケです。内容でアピールせぇよ、という感じでしょうか。
まぁ、それもこれも、映像を撮る側の小さな演出なんでしょうけど・・。
私はシステム屋ですが、なるべく日本語でしゃべるようにはしています。アルファベット3文字の羅列でしゃべるヤツは、とりあえず信用度ダウ~ンですね。
by arukakat (2007-01-25 22:31) 

参明学士/PlaAri

★arukakatさん、ご無沙汰いたしております。今年もどうかよろしくお願い致します。

>内容でアピールせぇよ、という感じ

なるほど。そこを見ておられましたか。そうですよね。あそこでインタビューを受ける必要もなく、あえてそうしている人もいそうですね。「私はこれだけの本を読んでいる」あるいは、「これだけの本を読んだのだ」くらいのことを暗に主張してみたり…。

>アルファベット3文字の羅列でしゃべるヤツ

したり顔で話す人、結構多いですよね。自分も気をつけなきゃって感じます。
by 参明学士/PlaAri (2007-01-26 01:48) 

りんたろ

相手に伝わる言葉で話すのが基本ですよね。専門用語を出せば簡単でしょうが、相手が正確に理解できなければ意味がありません。でも、難しい言葉の受け売りすることが賢いことだと思っている視聴者も多く、洗脳された考えが増殖されているようで、メディアの恐ろしさを感じます。
最近、相手の言っていることはわかるのだけれど、こちらの意図を正しく理解してもらえず無力感を感じたことがありました。専門用語の類語(翻訳)辞典がほしい。
by りんたろ (2007-01-26 22:23) 

銀鏡反応

お久しぶりです。

私たちはTVのコメンテーターたちの言葉を鵜呑みにしてはいないだろうか。若しそうであるなら、それはとても恐ろしいことなのではないか。物事を正しく認識できていないのではないか。

専門用語を仮令ニュアンス的にもわかるようにいう知識人ならまだしも、我々が理解できないのをいいことに、専門用語をもてあそぶように連発するえせ知識人らの言動には憤りを感じる。

そしてそんな連中の言葉こそ、実は最も信用ならないものだったりする。

情報が氾濫し、なにが真実でなにが嘘かわからないごった煮的な今の社会では、自分の目と耳を駆使し、確かさを取り戻し、誰が真実をかたり、誰が嘘を言っているのかを見破ることが大事だと思った。
by 銀鏡反応 (2007-01-27 13:17) 

参明学士/PlaAri

★りんたろさん、そうですよね。情報は「受け手にとって意味あるもの」でなくてはいけません。そのためにはただ難解な語句を並べ立てるだけではいけないと思います。情報もやはり「人と人との間」に立っているものですから、提供する側、そして受け手の側の双方の品格と言うか、人格と言うか、そういうところにも本当は期待したいですよね。

>最近、相手の言っていることはわかるのだけれど、こちらの意図を正しく理解してもらえず無力感を感じた

あ、あります。私もそれ。どうも考えていることを言葉に置き換えようとした時に、適切な語句が出てこない時があるんです。「んー、どうしよう?」とか思うのですが、そういう時はなるべく「例え話」を引き合いに出したりして会話を繋げます。

★銀鏡反応さん、ご無沙汰いたしております。

>私たちはTVのコメンテーターたちの言葉を鵜呑みにしてはいないだろうか。

実際に世論を形成する少なくない部分をこうした人たちが担っているのですよね。コメンテーターは己の発言が及ぼす影響力をもっと恐れた方がよいと思います。だからこそ、言葉は慎重に選ばなくてはいけないし、決して「気分」などで言動を発するのを慎まなくてはいけないと思います。彼らはしゃべることそれ自体が商売でしょうけれど、その中身によって価値が決められるというよりは、出演料そのものが評価みたいなものですからね。ですからもっと視聴者は「辛く」評価してよいと感じます。

>自分の目と耳を駆使し、確かさを取り戻し、誰が真実をかたり、誰が嘘を言っているのかを見破ることが大事

眼前の事実は当人にとって確度の高い情報です。しかし、事実は真実を必ずしも表さないこともしばしばです。奥深い人間の実相というか、大局観というか、より次元の高いところから世相を俯瞰して行く習慣をつけていきたいですね。
by 参明学士/PlaAri (2007-01-28 08:41) 

サファイヤ

学問において、自分自身で苦労して理解した方は、自分の専門外の方に説明をするときに、難しい言葉や専門用語を使わずに説明をしてくれます。
それはなぜか。
聞き手に理解をしてもらわなければ、意味がないからです。つまり、専門的な意味の本質を自分自身がキチンと理解できているからこそ、知識がない人たちに解ってもらおうと、平易な言葉で説明ができるのです。
それが、本当にその専門分野を理解している人間ができることなんですね。
コメンテーターが難しい言葉をひけらかすのは、ただ、相手(視聴者)を煙に巻いているだけで、実は、自分もよく解っていないんじゃないでしょうか?
by サファイヤ (2007-01-31 21:25) 

のぶ

ちょうど1年くらい前に書いたネタですが、トラバします。
最近買った携帯に「ビジネスキーワード」なる辞書が
内蔵されておりまして、増殖するけったいなヨコモジ
にあらためてヘキエキとしております(笑)
by のぶ (2007-04-27 09:37) 

参明学士/PlaAri

★サァファイアさん、すっかり返信を失念していました。申し訳ありません。

>自分自身で苦労して理解した方は、自分の専門外の方に説明をするときに、難しい言葉や専門用語を使わずに説明をしてくれます。

そうですよね。本当に物事を知っている人は簡便な言葉に置換できるはずです。本質をきちんと捉えているかどうかが重要なわけですしね。

>コメンテーターが難しい言葉をひけらかすのは

いたずらに権威や専門語を背景に知識人ヅラするひとほど薄っぺらい印象を受けやすいですね。どうも太田総理に出てくる「ケビン・なにやらさん」なんかはそんなイメージを抱かせてしまう気がします。知っているのか、無知なのか、愚かなのか、判別が付きにくいですし。少なくとも軽快な論理と緻密な思考を持っているようには感じません。

★のぶさん、トラックバックありがとうございます。早速拝見させて頂きますねー。
by 参明学士/PlaAri (2007-04-27 13:09) 

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